数学に対して個人的に感じたことなど

 

@hyuki 先生の質問箱への回答スレに対して

 

 

 
とまあ、がばがばなレスを返しましたら、(私の予想を)はるかに超える反応があって、ちょっとびっくりしました。
そこで、これは、もしかしてそれなりに需要がある話題なのかなと調子づいたので、書いてみますね。
主に「数学が苦手だな」って人向けです。伝えたい事は、3点あります。

 

「数学の勉強は積み重ね」
「ノートを書こう」
「人によって理解の速度は違う」

の、3点です。

 


数学の勉強は積み重ね

 

数学に限らず「勉強」と名の付くものは、全般的に知識の積み重ねだとは思いますが。

私みたいな適当なプログラマだと「ライブラリを利用すれば当面の問題は解決できてしまう」という事が頻繁にあります。
その結果どうなってしまうかというと、「よく分からんが、こう書けば動く」という知識だけが増えて、本質的な問題が見えないまま、根本的な対応ができなくなってしまいます。


まあいまのIT業界はそれでも良いのかもしれません。
(わりと原理・原則までは知らなくてもいい、「●●の経験者求む」になっていますから。)

 

ただ、数学の世界で私みたいなスタンスで勉強していると、どうなるか。


「公式を利用すれば、当面の試験は突破できてしまう」

……数学はよく分かってないけど、なんとなく世間では「理系っぽい」と呼ばれてしまう人のできあがりです!私のことです!


そこで私は、自分自身なにが理解できていないのか確認する必要があるな……と、社会人になってから自覚しました。
そんなわけで数学が得意だという知人に、聞いてみました。

 

「数学が苦手なんだけど、何かお勧めの本とかない?」

 

いま思えば相当無茶な質問です。
当然ですが、誰一人この質問に答えてくれる(答えられる)人はいませんでした。
「数学が得意な人というのは、数学で苦労していないから答えてくれないんだ!」とも思いました。
まあ、そういう側面もあるかもしれませんが、実際のところ「つまずく点は人それぞれ」です。
つまり私が「数学でつまずいている点」が分からないので、誰も(私以外に)答えようがないのです。
(自分の数学に関する知識というジェンガのスキマが、どこにあいているのか、自分にしか見えていない状況だと思います。)

そんなやりとりから数年が経ち、幸いあらためて勉強する時間ができました。
数学に対しても「人に聞いて分からないなら、自分でどうにかするしかないな!」なんて思ったのが半年前です。
そこで取り上げてみたのが、放送大学の「初歩からの数学」という講義でした。

 

初歩からの数学('12) | 放送大学オープンコースウェア

※ @yjszk さん から「OCWに含まれているよ」と、Twitterでご指摘いただきました。ありがとうございます!

 

 

ノートを書こう


(数学の)本を読むときに、本1冊に対して大学ノートを1冊用意しても良いんじゃないかな、と思いました。理由は2つ。

 

1つ目の理由。LaTeXとかWordとかで数式をいきなり電子化できるならそれでも良いのかもしれません。
でも、ほとんどの人がいきなりそこまで速い編集はできないんじゃないかと思います。
まずは手書きで良いと思います。
グラフだって、Excelで描くよりは手書きの方が早いです。
きれいに描けなくたって良いんです。自分の理解のために描くんですから。

 

2つ目の理由。「つまずく点は人それぞれ」「忘れる点も人それぞれ」
最初の項でも書きましたが、「なんとなく公式を覚えて」「それっぽく扱える」と、そのまま理解せずに見過ごしてしまうことがあります。
私の場合はプログラムなら、コードそのものがノートみたいなものなので、ちょっと行き詰まっても、自分のコードを見れば「ああ、あのときはこう書いて解決したな!」って、すぐに コピペ 思い出すことができます。
(そのスタイルが良くないんだけど……)

 

数学も初回は「こんな感じかな!」と理解したつもりでいたところに、勉強を進めていった先で「●●で解説した公式を当てはめます」と言われて、初めて覚えていなかったり、実は理解していなかったことに気付いたりすることが何度もありました。
こんなときに本を読み返したり、放送内容をひっくり返して見ていては、なかなか前に進むことができません。
そこで手掛かりになるのは、やっぱり自分で書いたノートだったりします。

「本1冊に対して大学ノートを1冊用意」と書いたのも、この「思い出す」作業を効率化するため。
本を読み終わってしばらく経ってから、なんらかの問題に当たった時「たしか●●という本で解法を読んだんだけど……」というところまでは思い出せることがあります。
そのとき改めて本を読み返さなくても、自分が取ったノートや描いたグラフをパラパラと見返すだけで思い出せたりします。

必要な知識を必要なときに素早く取り出せるようにしておくこと。
これを実現するために、本と自分でまとめたノートを紐づけて残しておくというのは、一つの手段なんじゃないかな、と思いました。
数学に限った話じゃないんですけどね。

 

人によって理解の速度は違う


これまで何度か書いてきた「つまずく点は人それぞれ」ということ。

私個人の例ですが、この「初歩からの数学」を見る前に、目次で「指数と数列、極限のあたりの理解があやふやかな…」とは思っていました。
でも、実は因数分解(の筆算)を本当に最後のほうまで理解していなかったことに気付きました。
(それこそ積分まで行き着いたあたりで、ようやく気付きました)


逆に数列や極限のあたりは、(意外にも)あまり苦労しませんでした。
これは、高校生の時の私は数列や極限を理解する手がかりが全くなかったのに対し、今は(専門学校で覚えた)プログラミングでfor文の概念があることが大きいからだと思いました。


余談になりますが、こういったことは「個性」のひとつだと私は思います。
プログラミングの経験の有無、あるいはもっと遡って九九を覚えているかどうか。
そういった経験のひとつひとつが、理解の速度を速めたり、あるいは(誤った知識が)邪魔してしまって理解を手間取らせてしまったりするんじゃないかと。

この「初歩からの数学」という同一の講義に対しても初歩からの数学('12) | 放送大学ノートの投稿を見ると、人によって難易度の感じ方の差がかなりあるようです。

 

小・中でやったことの再位置付け+高校範囲なのでかなり展開が速いです。「この辺、簡単」と思って飛ばしていると、いきなり難しいところにぶち当たります。 

 

私が特に同じ気持ちになったのは、この投稿。
本当に何度も展開が速すぎて「ちょっと待って!」と放送を一時停止しながら
「やっぱり私は、理解している気持ちになっているだけなんじゃないか」
「理解の速度が、他人と比較すると極端に遅い、劣った人間なんじゃないか」とめげそうになったのですが。

中学~高校の6年間を45分×15回に詰めているのですから、当然なのです。
その高校までの数年間の学習内容の背後には、数千年(数字の発明から考えたら数万年?)かけて発達してきた数学の歴史があるのですから。
多少手間取っても大丈夫!おかしくないよ!

 

という想いを、140文字に込めるのはちょっと難しそうだったので、あらためて書いてみました。